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高森明勅
2019.12.8 06:00皇統問題

明治天皇の曾孫・アルフレッド稔彦氏

明治天皇の皇女、泰宮聡子(やすのみやとしこ)内親王は久邇宮朝彦
(くにのみやあさひこ)親王の第9皇子で、新設の東久邇宮家の当主になった
稔彦(なるひこ)王と結婚された。

実は、明治天皇のお3方の内親王は、それぞれ“新設”の宮家
(竹田宮・朝香宮・東久邇宮)に嫁いでおられる(他に周宮房子〔かねのみやふさこ〕
内親王は既存の北白川宮家に嫁がれた)。

その事実から、それら3宮家の新設について、「客観的には(内親王の)嫁ぎ先
としての意味を持った」(小田部雄次氏)と指摘されている。

その意味では、北朝の崇光(すこう)天皇以来の男系の血筋ではなく、
むしろ明治天皇の「皇女」との血縁の方を重視し、「(女系を介して)明治天皇の
玄孫」である、と誇らしげに自己紹介する人物がもし関係者の中にいたら、
些か皮肉ながら、それは歴史の実態に近いと言えよう(ちなみに竹田宮家の場合は、
初代が非嫡出だったから一層、当てはまるかも知れない)。

それはともかく、被占領下に皇族の身分を離れた東久邇稔彦氏の4男に、
俊彦氏がおられる。
正真正銘の元皇族でいらっしゃる(かつて皇族だった時期がおあり)。
同氏は戦後、在サンパウロ総領事だった多羅間(たらま)鉄輔氏の未亡人、
キヌ氏の養子になり、ブラジルに移住された。

平成20年に「日本人ブラジル移住百周年記念式」が開催され、
天皇陛下(当時は皇太子)がブラジルにお出ましになった時には、現地で
案内役を務められた。
同氏の1人息子は、祖父にちなみにアルフレッド稔彦と名付けられているそうだ。
但し、日本語は話せないとか。
だが、女系を介して紛れもなく「明治天皇の曾孫」でいらっしゃる。
この方に未婚の男子がおられるかどうか、私は知らない。
おられた場合はれっきとした「明治天皇の玄孫」だ。
旧宮家系男子が新たに皇籍を取得する際は、その人も(日本国籍を取りさえすれば)
対象になるのだろうか?

 

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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